【updraft×FCクラッキス松戸】選手たちが自分の人生を自分で選択できるようになることを目指して

updraftでは、2021年6月よりFCクラッキス松戸の中学3年生に向けてキャリア・チームビルディングトレーニングを提供しています。今回、クラッキス共同創立者であり、現監督の臼井 芳晴監督に、チームを指導される上で大切にされていること、updraftのトレーニング導入後の選手たちの変化、今後目指されていることについて話を伺いました。


updraft キャリアトレーニングについて
アスリートキャリアトレーニング事業「updraft」(https://updraft-sports.jp/)において、早期に自主自律型人材を育成することを目指し、小学生〜大学生年代向けにキャリアトレーニングを実施。同クラブでは、サッカーを通じて、選手自身が自分で自分のことを深く理解し社会で活躍する人財になってほしい、そして、「結果を出す」という過程を通じて、自分自身の強み・弱み・特性を理解し、自分自身で意思決定できる人生を歩んでほしいという願いをこめて、キャリアトレーニング・チームビルディングトレーニングを実施しています。

※1:行動変革を促進し、人と組織の力を引き出すことを目的に開発された心理アセスメント。スポーツ庁委託事業「アスリートキャリアコーディネーター育成プログラム」に採用された。updraft(TOiRO)と事業提携し、キャリアトレーニングツールとして今注目を集めている。(画像:ビノベーションレポート受検結果例)


Profile

NPO法人まつひだいスポーツクラブ代表
FCクラッキス松戸 監督
臼井 芳晴

まつひだい幼稚園のサッカークラブへの指導をスタートし、これまで約30年に渡り、幼児から中学生年代へサッカーを指導してきた。2005年にNPO法人まつひだいスポーツクラブを設立し、2020年にはクラッキスメニーナ(中学生女子)を設立。FCクラッキス松戸では、2007年にフットサル大会全国大会優勝、2020年にクラブユース選手権大会 ChallengeCUPにて関東大会優勝、これまでにJリーガーを多数輩出。現在は明和幼稚園の園長とまつひだいスポーツクラブの代表を兼務している。


本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます!まずはじめに、まつひだいクラッキス(現FCクラッキス松戸)が誕生した背景とこれまでについてお伺いできますでしょうか。

臼井監督:遡って少し私の話をさせていただくと、大学生のときに「サッカーを教えて欲しい」と当時の理事長先生に言われ、まつひだい幼稚園のサッカークラブにアルバイトコーチとして、関わることになりました。当時、大学卒業後は家業の印刷業を継ぐつもりだったのですが、理事長先生に誘われ、サッカー専任の職員として同園に就職することになりました。

元々5年後に閉園すると決まっていたのですが、保護者の声を受け、閉園後はサッカークラブだけ独立させて残しました。それがまつひだいサッカークラブです。会費だけではやっていけず、当時の経営状況はとても厳しかったですね。

数年後に出会った古川コーチという方の「中学生のクラブをつくりたい」という想いからジュニアユースのまつひだいクラッキス(現FCクラッキス松戸)がスタートしました。数年は経営的には厳しい状況が続き、10年くらい経った時にクラッキスの認知度が上がり、結果も伴い9期生で初めてクラブユース関東大会に出場、フットサルで日本一になりました。セレクションも以前は少なかったのですが、現在は200名近くに増えました。

サッカー選手である前に、1人の人間として成長して欲しい

指導の中で大切にしてこられた選手たちへの想い、指導方針はどのようなものでしょうか。

臼井監督:サッカー選手である前に1人の人間として成長して欲しいと思い、指導しています。サッカーだけできればいいのではなく、例えば、挨拶がきちんとできる、思いやりを持てる、目上の人に敬語を使える、といった人として大切なことについて、厳しく選手たちには伝えています。

よく気づき、人がやりたくないと思うようなことを率先してやれる子になれるように、例えば練習や試合後のグラウンド整備も、みんな疲れているけど、チームのためにレギュラーだからこそ真っ先にトンボを取りに行けるかどうかが大事ですし、そうなって欲しいなと考えています。クラッキスを卒業後、高校でキャプテンを務める選手が多いことを誇りに思っています。

中学生年代にとって重要な技術に特化したトレーニング

臼井監督:技術面では、ボールコントロールを身につけるためのトレーニングに力を入れています。中学生なのでフィジカルも技術もピークではなく、サッカー選手としては途中の段階です。高校生以降の活躍に接続するための指導を考えた時に、高校生ではフィジカル・戦術のトレーニングを強化するべきで高校年代で技術を身につけるのは時間がかかるため、中学生の今、技術力を身につけさせてあげたいと考えています。

具体的な練習方法としては、サッカーボール・リフティングボール・テニスボールで少しずつボールを小さくして難易度を上げながら、足の使う部位を変えて歩きながら時間内にリフティングする基礎練習をやっています。クラッキスではこのメニューがクリアできて初めて一人前です。

こうした人として大切なことを伝える指導と技術力の強化、選手たちの頑張りが実を結んでいるのか、「クラッキスの選手ならぜひ受験して欲しい!」と高校のスカウトの先生方に言ってもらえることはとてもありがたいですね。

クラッキスではクラブをやめる選手がほとんどいないというのは、どういったことが影響していると思いますか?

臼井監督:スタッフが選手に本気で関わっている、コミュニケーションを積極的に取れているというのが大きいと思います。各学年約30人、全体で90人近くいる中で定期的にミーティングをしたり、何か問題があったらそのままにせずにチームのこととして、みんなで考えるためにもMTGをするようにしています。

スタッフもスタッフ同士、選手に対して本気で向き合ってくれているので、チームの仲間意識が強く、公式戦でレギュラーではない子もモチベーション高く頑張れている環境を作れているんだと思います。

さらにクラブをよくするために、updraftのトレーニングを取り入れていただいたかと思うのですが、その一番の目的はなんだったのでしょうか。

選手たちが、自分たちで自分の進路を決められるようになって欲しいという願いをこめて

臼井監督:選手たちが、自分たちで自分の進路を決められるようになって欲しいというのが一番の理由です。これまでも選手たちとのコミュニケーションを大事にしてきましたが、現状はサッカーのこと以外に進路の話も担当のコーチが選手たちと話していました。

勉強とサッカーのレベルのバランスをとることが大事だと考え、毎年10月に進路の三者面談をしているのですが、毎年何名かは「親や塾の先生がこう言ったから」という理由を出して自分で決められない、自分の考えを聞いても出てこない選手がいて、それは課題だと思っていました。

外部の方が関わって、新たな角度で情報を提供してくれることで、彼らの進路選択や今後の人生に役立つと思いますし、監督に話せないことや先輩に対しては本音で話せないこともあるのではないかと思い、トレーニングをお願いすることにしました。

スタッフでは手が届いていなかった部分を個別面談でカバーしてもらっている

updraftのトレーニングをスタートして2ヶ月目ですが、何か変化はありましたか?

臼井監督:第1回目のトレーニングでは、「本音のコミュニケーション」というテーマで3年生に向けてトレーニングをしてもらい、その後の練習や試合でも必要な場面で「コミュニケーションってなんだっけ?」と選手に自分の言動を振り返ってもらうアプローチができるようになりました。まだ始めたばかりではありますが、選手同士のコミュニケーションの質も少しずつ上がってきているように思います。

スタッフたちもupdraftの個別面談のカルテ(各面談ごとに担当トレーナーが選手と話したことや所感を記入する書面)を見て、「いいね!」と言ってくれています。何より、トレーナーの方がクラッキスを愛してくれているし、クラッキスのためにと想ってくれていることが嬉しくて、そういう人がクラブに関わってもらえていることがありがたいです。

目標は3大会すべてで関東大会へ出場すること

最後に、臼井監督が目指していることを教えてください。

臼井監督:クラブユースの関東大会には出場できたので、残り2つ、高円宮杯での関東大会出場、フットサルの関東大会・全国出場を実現したいです。3つの大会全てで関東大会以上に出場した代はこれまでないので、そこに挑戦したいです。

長期的には大きな夢があり、自分たちのグラウンドを持ちたいと考えています。サッカーの指導ができて情熱をもったスタッフたちはいますが、思いを実現させていくためにスポンサー活動等をどう取り組んでいくのか、またそれを実行していく人材はまだ足りていないと思います。

そのため、updraftには、地域の人たちから愛されるクラブになるためにクラブとして何ができるか、助成金やスポンサー活動のための資料の作成など、私たちができていないところにも力を貸してもらえたら嬉しいです。

また、クラッキス卒業後にOBとしてクラッキスのことを想ってくれている子達が多く、最近LINEグループを作成したら300人も登録してくれたのは嬉しかったですね。OBの子達がいつでも帰ってこられる場所を作ることもクラブ運営の目的のひとつなので、彼らのためにもこれからも、クラブ運営を続けていきたいです。

キャリアトレーニングの枠組みにとらわれず、これからも精一杯サポートさせていただきます!本日はありがとうございました!

関連記事