代表・取締役対談【前編】教育課題の解決にかける想いとこれまでの取り組み

「変わりたいを応援する」という理念を掲げ、それぞれの教育事業を牽引してきた代表の眞野目(まのめ)と取締役の鶴巻(つるまき)に、ふたりの出会いから教育事業にかける想いとこれからについてじっくり話を伺いました。

前編では、ふたりの出会いと教育課題の解決にかける原体験、これまでの取り組みについてご覧ください。


Profile

眞野目 悠太(写真右)
代表取締役 / メンバーからの愛称:まのめさん /

大学1・2年生からの教育型インターンのパイオニア「 Mirai Ship」の事業責任者。
大手ゲーム会社にて人事として成長率日本1位に貢献。その経験を活かし、ベンチャー企業にて人事部門立上げや人材紹介・派遣事業の立上げを行う。
その後、現在グループ会社であるMOVER&COMPANYへ事業譲渡。同社執行役員就任。

企業組織の課題や個人のキャリア教育の課題を解決するべくTOiRO株式会社を設立。組織コンサルティング実績は延べ30社を超える。また、教育事業においては、日本初の産学連携型のキャリア教育に取り組み、これまでに計55大学の学生が参加した。


鶴巻 翔平(写真左)
取締役 / メンバーからの愛称:つる、つるさん

スポーツキャリアトレーニング事業「updraft」の事業責任者。
大学時に埼玉県選抜としてフットサル選抜大会で全国制覇を果たす。人材教育コンサルティング会社に入社し、若年層教育に従事。その後、スポーツ人材に特化した大手人材会社に入社。採用戦略、社員研修を0から設計・実施。IPOに向けた採用プロジェクトを牽引。
現在は、組織開発コンサルタントとして複数社の人事企画を手掛ける。また育成年代に特化したスポーツキャリアデザイン事業を展開している。キャリア支援実績は5000名に上る。


−−本日はよろしくお願いします。TOiROとして、初めてのインタビューですね!まず、おふたりの出会いから伺えますでしょうか。

眞野目:つるとの出会いは2017年ですね。当時Mirai Shipでは自社で半年間のインターンシップを企画・運営していたんですけど、そのひとつのコンテンツとして、テーマを設けて月に1回外部講師の方をお呼びしていて、他の運営メンバーが呼んで来てくれたのがつるだったんです。

鶴巻:そうですね。確かそのときはチームビルディングというテーマでしたね。その後1年半くらいあいてまた別のMirai Shipのイベントがあって、事前の打ち合わせで渋谷のカフェで会ったのを覚えています。そこで意気投合して一緒にやりたいです!と伝えTOiROにジョインすることになりました。

教育への課題意識、口だけではなく行動している本気さに共感

−−Mirai Shipがおふたりを繋いだんですね。当時、お互いに対してどんな印象を抱いたんですか。

鶴巻:自分は眞野目さんの語る教育、Mirai Shipへの想い・ビジョンに共感しました。

当時、自社(前職)の人事採用活動と、体育会の学生、特に大学3・4年生の就職支援をしていたんですけど、キャリアについて考えるタイミングが大学3・4年生では遅いと感じていました。Mirai Shipでは1、2年からキャリア教育を実践しているのを聞いたんです。それがいいなって。

教育事業をやりたいって、言ってる人たちはいっぱいいるけど、仕組みとして動かしていたり、実現させているところがいいですよね、という話を眞野目さんとしたのを覚えています。

眞野目:そうですね。つるがやりたいこと、やっちゃえばいいじゃんって話をしましたね。もったいないなという印象でした。

当時のつるは、もがいているようでしたね。それだけ考えて想いもあるんだったらやれるんじゃない?と思っていました。(笑)

こんなにスポーツを頑張ってきたのに、スポーツ以外のことになると自信がなくなるのはどうしてだろう

−−キャリア教育への課題、解決へのアプローチに関してお互い意気投合されたんですね。おふたりが教育へ課題意識をもつようになったのってどんなきっかけがあったんでしょうか。

鶴巻:前職の体育会学生の就活支援で感じたキャリア教育への課題がupdraftの原点なんだと思います。

なんでこんなにスポーツ頑張ってきたのに、スポーツ以外のことになると自信がなくなるんだろう、というのを面接のタイミングですごく感じました。

全国優勝している学生がスポーツしかやってないって言うんですよね。色んなことを知っていて、そのツールがサッカーであるという捉え方ができたり、もっと早くから情報を得られていれば違ったのではないかなと思うんです。

スポーツと社会の接続が課題だなって。

その頃からキャリアについては大学3・4年生のタイミングではなく、中学生時代から考えるべき、とさらに強く思うようになったんですが、

前職で事業としてやるってなると当たり前なんですけど、売り上げだのなんだのという話になるから、そうじゃないんだよなぁと思っていました。

加えて中学時代のサッカークラブの代表(クラブ与野、中森代表)に再会しなければ、この教育の道に入ってなかったと思います。自分にとっての恩師であり指導者ですね。

今、updraftとしてクラブの経営支援や教育面でのサポートをさせていただいていますが、微力でも恩返しができているといいなと思います。

−−当時、中森代表にはどんな影響を受けたんですか?

鶴巻:人として育って欲しい、と中学3年間言われて育ちました。当時はなんだそのメッセージは、と思ってましたね(笑)

チームの指導者によって選手の育て方、育成方針が違うということを知ったのは埼玉県選抜のチームの時。今のクラブ与野の考え方というのは、当たり前じゃないと思いました。当時はその関係もあって先生になりたいとも思っていましたね。

先生としてではなく、事業者として日本の教育の仕組みを変えようと思った

眞野目:自分は幼少期から先生になりたいという気持ちが漠然とあって、先生になり、野球部の監督をやる。という考えから教育の分野に興味は持っていましたね。

自分の原体験の話をすると、子どもの頃からプロ野球選手を目指していて、大学まで行ったのですが、怪我がキッカケでプロ野球の道を断念したんです。その時に、自分ってこれから何を目標に何のために生きるんだろう。と考えていた時期がありました。

考える中で、「なんで「お金」っていう授業がないんだろう?未来についての授業は何でしないんだろう?お金を扱って未来に生きていくのに、学ぶ機会って何でないんだろう?」という疑問を抱くようになりました。

それまで野球しかやっていないので脳みそは筋肉でしたが、馬鹿なりに必死に自分の人生について考えてたんですよ。(笑)

色々と調べた結果、当時イメージした、社会に直結するような教育の仕組みが少なかったんです。

学校から社会へ接続する仕組みが日本の中でも課題とされているのに、何でやっているところがこんなにも少ないのだろうと夢中になって調べていましたね。

−−先生になろうとは思われなかったんですか?

眞野目:先生になるのはちょっと違うなって当時考えたんですよね。

今の学校と社会の接続の構図って、野球に例えると、今まで野球をしたことがない人が入部してすぐホームランを打てと言われるようなものだなと。

バッティング練習もしていないのに、大事な試合でホームランを打たなければならない場面に直面する。結果を出すという意味で。それが今の社会ですよね。

GDPが伸びている時は、バントでとにかく後ろに繋げられれば良かったんですけど。今はそうじゃない。自分で自分のキャリアをマネジメントしていかなければならない時代なので、「バントは出来ますよ」では通用しなくなってきているという危機感がありました。

バッティング練習ができる仕組みが少ないという現状に対して、事業や仕組みを自分が作りたいと強く想うようになりました。

−−なるほど。TOiROとして「変わりたいを応援する」という理念を掲げられているのですが、そこにもこの原体験は影響しているのでしょうか。

眞野目:そうですね。教育が平等か?でいうと、そうではないと私は考えています。社会は基本的には平等ではなく、競争の中で成り立っているという側面もあります。とはいえ、最低限平等にすべきところはあるなと。

そのうえで、高いレベルで切磋琢磨する状態にしなければならないと考えていて、社会人で活躍するためのベースとなる教育が平等ではない点に課題を感じています。

変わりたい、成長したいという気持ちがあっても、知らないから成長の機会がない人達がいる。そういった人達にキッカケを作り、成長を伴走したいという想いから「変わりたいを応援する」と掲げています。

−−「変わりたいと思う人々に変われる機会をつくりたい」という想いが根幹にあるんですね。その想いをどう実現していくか、それぞれの事業について教えていただけますか。

「僕、こうゆう目標を立てて頑張るんだ」小学生の息子から母へ。伝えたいメッセージが届いていると実感。

−−updraftについて教えてください。

鶴巻:updraftでは主に育成年代へのキャリアトレーニングを行っています。スポーツと社会との接続において、実現したい世界観を実現するために、ダイレクトに子供たちに伝えています。

クラブ経営のサポートはサッカーを専門的に教えている人の何かサポートになるようなサービスであればと思ってやっています。

−−選手たちとの印象的なエピソードはありますか?

鶴巻:去年の夏に、支援しているサッカークラブの合宿(小学4~6年生が参加)に帯同したんです。

参加した子たちが家に帰った時に保護者の方へ「僕、こうゆう目標を立てて頑張るんだ」と言っている、と監督経由で聞いた時に、ちゃんと自分が伝えたいメッセージが届いているのが分かって感動したのを覚えています。

後日、同クラブの代表も、ふとしたタイミングで「いてくれてありがとう。つるがいてくれてよかったよ」とさらっと言ってくれたのはかなり嬉しかったですね。

選手保護者に伝わった上での代表からの一言だと感じたし、もっと頑張りたいと思いました。

「あの時あの経験をしていなければ今の活躍は無いです」大手企業に入社し、営業成績1位

−−Mirai Shipについて教えてください。

眞野目:Mirai Shipは「大学生の社会人への接続」がテーマです。初年次の大学1、2年生から仕事について考えることをして欲しいと考え、大学1・2年生から参加できるインターンシップを2016年にスタートしました。

これまでに延べ55大学から学生が参加してくれているのですが、大学1年生からの長期インターンシップはすごく少ないんです。

1年生から長期インターンシップを受け入れるのは企業としてはマネジメントコストが掛かりすぎるのと、コストを掛けるメリットが少ない。大半がエンジニア職のようなアウトプットが明確なもの。そんな中、社会をリアルに知る事が出来ず大学3年生になり、「さあ人生の大事な意思決定を半年でしましょう」は難しいと思います。

もっと事前にリアルな社会経験をして準備できるのが理想と考え、特に初年時に特化したインターンシップをやってきました。

−−Mirai Shipに参加した学生たちとの印象的なエピソードはありますか?

眞野目:プログラムの一貫で、毎週メンターと学生とで各プロジェクトの進捗を確認する定例があるのですが、社会人と同じ基準でメンターからフィードバックするんです。

学生たちは資料や何を話すかを準備して、毎回ダメ出しをされて、泣いて帰るみたいなことがあったりします。それでもめげずにチャレンジした結果、すごく良い成果になり、いい成果はもちろん称賛されます。それがやり切ったと言う感動になり、またそこで涙したりする。

Mirai Shipを卒業して、自分が入社したい企業に入社でき、そこで躍している人も多いです。「営業トップになれました」「あの時どうしてあれだけ厳しくやってたかわかりました」「あの時あの経験をしていなければ今の活躍は無いです」と報告をもらえるのはすごく嬉しいですね。Mirai Ship時は「ムカつく」「もう辞めてやる」としか思わないらしいのですが。(笑)

学生と社会人の接続をテーマに4年間の試行錯誤を重ねて見えてきた今、社会に必要な教育とは

−−卒業生の活躍を見て、活躍出来た要因は何だと思いますか?

眞野目:社会との接続で重要な事は、課題へ挑むスタンスだと考えています。

一見、精神論のように聞こえるかもしれないですが、ものすごく重要だと4年間やって改めて気付きました。

社会やビジネスも変化し、職種や必要なスキルも変化していく中で、Mirai Shipでは「お客様の立場で徹底的に考えて妥協はせず、出来ない理由ではなくどう出来るかを考え、成果にコミットする。」という社会に出てからも重要になるクセを身に着けてもらっています。

野球で例えると、ただなんとなくバッティング練習をするのと、試合を想定して一球一球本気で練習をするのとでは成果が変わってきますよね。

本気で挑んだうえでの失敗体験・成功体験を積む事が社会での活躍に繋がると考えています。

>>インタビュー後編【Mirai Ship、updraftで今後目指していくこと、一緒に働きたい人とは】に続く。

企画/編集:TOiRO株式会社 広報 森高

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